最高裁判所第二小法廷 平成元年(あ)1038号 決定 1990年2月09日
主文
本件上告を棄却する。
当審における未決勾留日数中七〇日を本刑に算入する。
理由
弁護人喜田村洋一の上告趣意のうち、憲法三一条、三七条一項、二項違反をいう点は、実質は、単なる法令違反の主張であり、その余の点は、事実誤認、量刑不当の主張であって、刑訴法四〇五条の上告理由に当たらない。
所論にかんがみ、職権により検討する。原判決の認定によれば、被告人は、本件物件を密輸入して所持した際、覚せい剤を含む身体に有害で違法な薬物類であるとの認識があったというのであるから、覚せい剤かもしれないし、その他の身体に有害で違法な薬物かもしれないとの認識はあったことに帰することになる。そうすると、覚せい剤輸入罪、同所持罪の故意に欠けるところはないから、これと同旨と解される原判決の判断は、正当である。
よって、刑訴法四一四条、三八六条一項三号、刑法二一条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 草場良八 裁判官 藤島 昭 裁判官 香川保一 裁判官 奥野久之 裁判官 中島敏次郎)